メフィスト賞

メフィスト賞

小路幸也さんが作家としてのデビューとなるキッカケは、メフィスト賞ですがこのメフィスト賞は講談社が発行している小説雑誌『ミフィスト』から生まれた賞で新人の作家に与えらる賞で未発表の小説が対象の新人賞です。ユニークな点として上げられるのは、応募期間が設けられていないこと。枚数の上限が設定されていないので、連作などで規定枚数に達すれば短編でも受け付けしてもらえます。既存の公募型文学賞とは違っていて、『メフィスト』の編集者が下読みを介さずに直接作品を読んだ上で選考を行っているので、持ち込みを制度化したような賞ともいえます。

メフィスト賞が創設された当初から賞金は存在していませんが、受賞することがそのまま出版につながるので、単行本の印税が賞金代わりになります。受賞作品は講談社ノベルスで出版されることが多くなっていますが、ハードカバーやソフトカバーで出版されることもあります。

受賞者にはトロフィーの代わりにシャーロック・ホームズの像が進呈されます。ちなみに、受賞順に出版されるとは限りません。第46回〜第48回の受賞作は第45回の『図書館の魔女』よりも先に刊行されています。

小路幸也さんは北海道に在住していますが、この賞はデビュー当時に既に就職していた人や、地方に在住したまま活動を続ける作家が多いのが特徴の一つになっています。2012年までで、メフィスト賞の最年少受賞者は浦賀和宏の19歳です。他にも20歳で受賞した佐藤友哉、西尾維新、岡崎隼人、21歳で受賞した清涼院流水や、22歳で受賞した北山猛邦、高里椎奈など、20代でデビューする人が多く見られます。逆に最高年齢は丸山天寿の56歳、また森博嗣の38歳、高田崇史の40歳でのデビューといった、比較的遅咲きの作家も多く見られます。

メフィスト賞:歴代受賞者一覧

1990年代

  • 1996年(平成8年)・・・ 第1回 森博嗣 : 『すべてがFになる』
  • 1996年(平成8年)・・・ 第2回 清涼院流水 : 『コズミック 世紀末探偵神話』(1200年密室伝説)
  • 1997年(平成9年)・・・ 第3回 蘇部健一 : 『六枚のとんかつ』(FILE DARK L)
  • 1998年(平成10年)・・・第4回 乾くるみ : 『Jの神話』(失楽園J)
  • 1998年(平成10年)・・・第5回 浦賀和宏 : 『記憶の果て』
  • 1998年(平成10年)・・・第6回 積木鏡介 : 『歪んだ創世記』
  • 1998年(平成10年)・・・第7回 新堂冬樹 : 『血塗られた神話』(神の戯れ)
  • 1998年(平成10年)・・・第8回 浅暮三文 : 『ダブ(エ)ストン街道』
  • 1998年(平成10年)・・・第9回 高田崇史 : 『QED 百人一首の呪』(玉ぞ散りける ——百人一首の呪——)
  • 1999年(平成11年)・・・第10回 中島望 :『Kの流儀 フルコンタクト・ゲーム』(フルコンタクト・ゲーム)
  • 1999年(平成11年)・・・第11回 高里椎奈:『銀の檻を溶かして』
  • 1999年(平成11年)・・・第12回 霧舎巧 :『ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ』(十人そろったら)
  • 1999年(平成11年)・・・第13回 殊能将之: 『ハサミ男』

2000年代前半

  • 2000年(平成12年)・・・ 第14回 古処誠二 :『UNKNOWN(アンノン)』(アイアンゲート)(文庫化の時に改題『アンノウン』)
  • 2000年(平成12年)・・・第15回: 氷川透 『真っ暗な夜明け』
  • 2000年(平成12年)・・・第16回: 黒田研二 『ウェディング・ドレス』
  • 2000年(平成12年)・・・第17回: 古泉迦十 『火蛾』
  • 2000年(平成12年)・・・第18回: 石崎幸二 『日曜日の沈黙』
  • 2001年(平成13年)・・・第19回: 舞城王太郎 『煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices』(煙か土か食い物か)
  • 2001年(平成13年)・・・第20回: 秋月涼介 『月長石の魔犬』
  • 2001年(平成13年)・・・第21回: 佐藤友哉 『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』
  • 2001年(平成13年)・・・第22回: 津村巧 『DOOMSDAY -審判の夜-』(SURVIVOR ——生存者)
  • 2002年(平成14年)・・・第23回: 西尾維新 『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い』(並んで歩く)
  • 2002年(平成14年)・・・第24回: 北山猛邦 『『クロック城』殺人事件』(失われたきみ)
  • 2002年(平成14年)・・・第25回: 日明恩 『それでも警官は微笑う』(迎日)
  • 2002年(平成14年)・・・第26回: 石黒耀 『死都日本』
  • 2003年(平成15年)・・・第27回: 生垣真太郎 『フレームアウト』
  • 2003年(平成15年)・・・第28回: 関田涙 『蜜の森の凍える女神』(ハニー・デイズ)
  • 2003年(平成15年)・・・第29回: 小路幸也 『空を見上げる古い歌を口ずさむ』(GESUMONO)
  • 2004年(平成16年)・・・第30回: 矢野龍王 『極限推理コロシアム』
  • 2004年(平成16年)・・・第31回: 辻村深月 『冷たい校舎の時は止まる』(投身自殺)

2000年代後半

  • 2005年(平成17年)・・・第32回 : 真梨幸子 『孤虫症』(パーフェクト・サイクル)
  • 2005年(平成17年)・・・第33回 : 森山赳志 『黙過の代償』(虎の尾を踏む者たち)
  • 2006年(平成18年)・・・第34回 : 岡崎隼人 『少女は踊る暗い腹の中踊る』
  • 2007年(平成20年)・・・第35回 : 古野まほろ 『天帝のはしたなき果実』
  • 2007年(平成20年)・・・第36回 : 深水黎一郎 『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!』(ウルチモ・トルッコ)
  • 2008年(平成21年)・・・第37回 : 汀こるもの 『パラダイス・クローズド TANATHOS』
  • 2008年(平成21年)・・・第38回 : 輪渡颯介 『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』(落ちる弦月の鎌)
  • 2008年(平成21年)・・・第39回 : 二郎遊真 『マネーロード』
  • 2009年(平成22年)・・・第40回 : 望月守宮 『無貌伝 双児の子ら』(無貌伝 双子の子ら)
  • 2009年(平成22年)・・・第41回 : 赤星香一郎 『虫とりのうた』
  • 2009年(平成22年)・・・第42回 : 白河三兎 『プールの底に眠る』

2010年代前半

  • 2010年(平成23年)・・・第43回: 天祢涼 『キョウカンカク』(文庫化時に改題『キョウカンカク 美しき夜に』)
  • 2010年(平成23年)・・・第44回: 丸山天寿 『琅邪の鬼』
  • 2010年(平成23年)・・・第45回: 高田大介 『図書館の魔女』(2010年12月の座談会で受賞が決定。2013年8月に刊行)
  • 2012年(平成24年)・・・第46回: 北夏輝 『恋都の狐さん』(如月の頃、狐と出逢うこと / 如月の狐さん)
  • 2013年(平成25年)・・・第47回: 周木律 『眼球堂の殺人 〜The Book〜』
  • 2013年(平成25年)・・・第48回: 近本洋一 『愛の徴 ―天国の方角―』(黄金の蛇、緑の草原)
  • 2013年(平成25年)・・・第49回: 風森章羽 『渦巻く回廊の鎮魂曲(レクイエム)』